GX志向型住宅とは?
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近年、2050年に向けたカーボンニュートラルの実現や、省エネ・脱炭素化への取り組みが加速するなかで注目を集めているのが「GX志向型住宅」です。GX(グリーントランスフォーメーション)とは、再生可能エネルギーの活用や省エネ技術を駆使して、二酸化炭素排出量削減を推進する取り組みのことです。これを住宅でも積極的に取り入れ、より高い省エネ性能を目指したのが「GX志向型住宅」です。
GX志向型住宅では、高断熱・高気密など外皮性能(断熱材・開口部など)の強化に加え、高効率の給湯器や空調機器などの省エネ設備を導入し、大幅なエネルギー削減を図ります。さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーも利用して、年間の一次エネルギー消費量を実質的にゼロ(またはそれ以上)とする点が大きな特徴です。
「GX志向型住宅」について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
GX志向型住宅・ZEH・長期優良住宅の違いが一目で分かる一覧表
比較項目 | GX志向型住宅 | ZEH | 長期優良住宅 |
---|---|---|---|
主な目的・背景 | ・2050年カーボンニュートラル実現のために、省エネ性能を大幅に上回る住宅を推進 ・再生可能エネルギーと高断熱化による脱炭素 | ・年間一次エネルギー収支を「概ねゼロ」にする ・高断熱化+省エネ設備+太陽光発電など創エネで家計負担軽減 | ・数世代にわたり長く安心して住み続けられる家づくりの推進 ・耐震・省エネ・劣化対策など、住宅の長期使用を図る制度 |
断熱性能 | ・断熱等性能等級6以上(例:地域区分5〜7でUA値≦0.46W/㎡・K) | ・断熱等性能等級5以上(地域区分5〜7でUA値≦0.6W/㎡・K) ※地域により異なる | ・断熱等性能等級5以上が目安(長期優良住宅認定基準として最新の省エネ水準クリアが必要) ※省エネ性能は基準等級5以上+一次エネ消費量等級6以上など |
省エネ性能 | ・再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率:35%以上 ・再エネ導入を含む総合削減率:100%以上 (※寒冷地等で75%以上の場合あり) | ・省エネ基準からの削減率:20%以上(再エネを除く) ・導入した創エネ(太陽光など)を含め100%を目指す | ・断熱や設備面において、省エネ基準(一次エネ消費量等級4以上)をクリア ・近年はさらに高い断熱・省エネ性能(等級5・6以上)を求める自治体も |
再エネ設備導入 | ・原則必須(太陽光発電などで削減率100%以上達成を目指す) | ・原則必須(太陽光発電などでエネルギー収支をゼロに近づける) | ・必須要件ではない(長期優良住宅認定に再エネ設備は不可欠ではない) |
耐震性・劣化対策 | ・GX志向型住宅としての耐震要件は特化されていない(ただし省エネ性能に加え、高品質な施工・断熱施工精度が重要) | ・ZEHとしての耐震要件は特化されていない(一般的には耐震等級2、3を推奨) | ・耐震等級2以上が望ましい(認定長期優良住宅の要件に耐震等級2相当以上) ・劣化対策等級3など、長寿命化を重視 |
維持管理計画 | ・具体的な保全計画の策定義務はない(ただし高性能住宅として定期点検の推奨) | ・特になし(任意のメンテナンス計画は推奨) | ・維持保全計画(定期点検・修繕計画)の策定・実施が義務付けられる |
ZEHとは?
「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」は、断熱性能の向上や高効率機器の導入によってエネルギー消費量を削減し、さらに太陽光発電などでエネルギーを創ることで、「使うエネルギー≒創るエネルギー」とし、年間の一次エネルギー収支を概ねゼロにする住宅を指します。
ZEHとして認められるには、例えば断熱等性能等級5以上(地域にもよるがUA値0.6W/㎡・K以下など)や、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が20%以上になることが基本条件となります。これによって、従来よりも冷暖房費が低減し、夏は涼しく冬は暖かい環境を実現できます。
ZEHの目的は、家庭部門からのCO₂排出量を削減しつつ、光熱費などのランニングコストを抑え、快適な住環境を手に入れることです。そのため、多くのハウスメーカーや工務店がZEH仕様の住宅を積極的に提案しています。
ZEHについて詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
ZEHとGX志向型住宅の基準の違い
ZEHもGX志向型住宅も、ともに省エネルギー化と再生可能エネルギー活用によって年間エネルギー収支を実質ゼロに近づける目標を掲げています。ただし、GX志向型住宅は国の新たな施策として、より高い断熱性能や大幅なエネルギー削減を求める点が大きな特徴です。
断熱性能の水準
○ ZEH:断熱等性能等級5以上を基本とし、再エネを除く一次エネルギー消費量削減率は20%以上
○ GX志向型住宅:断熱等性能等級6以上(UA値でみると、地域区分5・6・7(関東以南)では0.46W/㎡・K以下など、より厳しい基準)を求める。さらに再生可能エネルギーを除いた削減率は35%以上となるケースが多く、ハードルが高い
再生可能エネルギーの搭載要件
○ ZEH:太陽光発電などで消費エネルギーを100%以上賄えれば良い
○ GX志向型住宅:地域条件にもよるが、太陽光発電などを組み合わせて「削減率100%以上(寒冷地などでは75%以上)」を目指すのが標準
エネルギー収支の目指す基準
○ ZEH:年間一次エネルギー消費量が概ねゼロ
○ GX志向型住宅:さらに省エネ性能を高め、再生可能エネルギー導入を加速させることで、より高いCO₂削減効果や将来的なエネルギー安定化を期待
ZEHとGX志向型住宅が受けられる補助金の違い
国土交通省と環境省が中心となり、エネルギー消費量の削減や再生可能エネルギー設備を導入した住宅にはさまざまな補助金や優遇制度が用意されています。代表的なものとしては、以下のようなものがあります。
子育てグリーン住宅支援事業(令和6年度補正案含む)
○ GX志向型住宅:最大160万円
○ ZEH:最大40万円~60万円(子育て世帯・若者夫婦世帯)
○ 上記金額は世帯条件(子育て世帯や若者夫婦世帯など)や解体の有無などで変わる
住宅ローン減税
○ GX志向型住宅:借入上限を大きく設定し、控除期間を比較的長く設定する方針案も発表済み
○ ZEH:省エネ性能が高いほど借入上限が優遇される仕組み(詳細は随時変更されるため、最新情報の確認が必要)
地方自治体独自の補助金
○ 各自治体がZEHやGX志向型住宅建築を推進する施策として、太陽光発電設置や高効率給湯器導入への補助金を出している場合もある
長期優良住宅とは?
「長期優良住宅」とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、数世代にわたって長く住み続けられる質の高い住宅を建て、適切に維持管理することを目的に制定された制度による認定住宅を指します。以下のような厳格な項目をクリアしているのが特徴です。
○ 劣化対策:木造住宅の場合、劣化対策等級3相当を満たし、数世代の使用に耐えうること
○ 耐震性:極めて稀な大地震にも対応する耐震等級2以上を求めるケースが多い
○ 省エネルギー性:断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6など一定の断熱・省エネ性能を確保
○ 維持管理・更新の容易性:給排水管などのメンテナンスや更新がしやすい構造
○ 住戸面積・居住環境:一定以上の広さを確保し、地域の景観などに配慮
○ 維持保全計画:定期的な点検や補修など長期の保全計画を策定する
長期優良住宅について詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
長期優良住宅とGX志向型住宅の基準の違い
長期優良住宅とGX志向型住宅は、ともに一定の技術的基準をクリアしている点が共通していますが、注目すべき基準の違いは「省エネルギー基準の高さ」と「再生可能エネルギーの活用要件」です。
省エネ性能
○ 長期優良住宅:断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上が目安
○ GX志向型住宅:断熱等性能等級6以上、再エネを除いた一次エネルギー削減率35%以上を掲げるため、より高い断熱と省エネ設備が必要
再生可能エネルギー設備の導入
○ 長期優良住宅:法的に再生可能エネルギー設備は必須ではない
○ GX志向型住宅:太陽光発電システムなどによる創エネを前提とし、そのうえでエネルギー収支をゼロ以上にする
長期使用構造・維持管理計画
○ 長期優良住宅:劣化対策、可変性、維持管理のしやすさなど、耐久性への配慮が非常に大きい
○ GX志向型住宅:脱炭素に主眼を置いた制度で、長期的に使うことも想定しているが、より「省エネ・創エネ性能」面の強化に重点
長期優良住宅とGX志向型住宅が受けられる補助金の違い
長期優良住宅とGX志向型住宅が受けられる補助金や税制優遇には以下のような違いがあります。
子育てグリーン住宅支援事業
○ GX志向型住宅:最大160万円の補助金
○ 長期優良住宅:最大80万円~100万円(子育て世帯・若者夫婦世帯)
「子育てグリーン住宅支援事業」について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
登録免許税、不動産取得税、固定資産税など
○ 長期優良住宅:優遇措置として登録免許税が0.1%になる、固定資産税減額措置が5年間になるなど多くの税制優遇を受けられる
○ GX志向型住宅:国の方針で新設された制度のため、長期優良住宅など従来制度の優遇を合わせて利用できるケースもあるが、現状の補助制度が中心
住宅ローン減税
○ 長期優良住宅:借入限度額アップなど優遇が受けられる
○ GX志向型住宅:高断熱・高省エネ性能住宅として、さらなる限度額のアップが検討されている
熊本県で「GX志向型住宅」を建てるならAs・Rising!
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GX志向型住宅は、ZEHなど従来の省エネ住宅をさらに進化させた「脱炭素時代の先進住宅」です。冷暖房の光熱費を抑え、地震などの非常時においても太陽光発電や蓄電システムを活用すれば、停電リスクへの対策としても有効です。さらに、補助金制度や税制優遇を最大限に活用することで、総コストを抑えた高品質な住宅づくりが実現できます。
ただし、高い断熱性能や省エネ性をしっかり担保するには、施工会社のノウハウや実績が重要です。より厳しい条件を満たすためには、断熱材の選定から設備機器の仕様、施工精度の確認などが必要となります。
熊本県のハウスメーカーAs・Rising(エーエス・ライジング)では、「GX志向型住宅」が標準仕様となっています。国の補助事業や自治体独自の優遇制度の最新情報も踏まえ、安心できる暮らしをトータルサポートいたします。
10年後、20年後、30年後を見据えて、熊本でGX志向型住宅を建てたい人は、As・Risingまでお気軽にご相談ください!
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